コンシリエンス(consilience)は、「諸学の一致」「知の統合」などと訳されます。異なる分野が、それぞれ独立に、同じ結論へと辿り着くこと──その一致を指す言葉です。
別々の道が、同じ場所に出る
あることについて、物理学が、生物学が、人類学が、まったく別の方法で研究して、気づけば同じ結論に重なっている。そういうことが、起こります。
この重なりが、なぜ大切なのでしょうか。それは、独立した複数の道が同じ場所に出てくることが、その結論の確からしさを高めるからです。ひとつの分野だけの主張は、その分野ならではの偏りを含んでいるかもしれない。けれど、出発点も方法も違ういくつもの分野が、同じ場所に辿り着くなら──その一致を、偏りだけで説明するのは、難しくなります。
数より、独立性
ここで大事なのは、一致の数よりも、道の独立性です。
同じ前提から派生した一致は、確からしさをあまり足しません。同じ眼鏡で、二度見たようなものだからです。逆に、まったく関わりのない分野どうしが一致するほど、その確からしさは増していく。別々の麓から登ってきた登山道が、同じ頂上で出会う──その独立性こそが、効くのです。
言葉の由来
この概念は、19世紀の科学哲学者 William Whewell が用い、20世紀末に生物学者 E. O. Wilson が著書『Consilience』で広く知られるものにしました。
知が細かく専門に分かれ、分野どうしが互いに見えなくなりがちな現代において、ばらばらに見える知を、ひとつに束ねて捉える視点として、あらためて注目されています。